いち

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「ちょっとそれどういうことよ!」 勢いよく立ち上がって怒鳴るのは、あたし。永倉誠花。 なぜこんなことをしているかというと、理解不能なことを言われたから。 「おっ、落ち着け誠花…!」 あたしのあまりの勢いに、少し引き気味なのは永倉古矢おじさん。幼い頃に両親を亡くしたあたしは、両親と仲の良かった永倉家に引き取られ、なんやかんやとあって古矢おじさんと二人で暮らしていた。 幼いころに両親を亡くした。 そう、そのはずだったのに、あたしが怒鳴る直前に言われた一言で、全てがひっくり返った。 「だからどういう事って言ってるの!」 「…お前の両親は、生きてんだよ。幕末で!」 意味がわからない。だって今は西暦20--年なんだよ? 幕末って、そんなこと言ったら…。 「おじさんのご先祖の生きてる時代じゃないの!」 「そうだよ、お前は、その時代から来たんだ。」 あたしは頭が真っ白になって、後ろのソファに座り込んだ。 ちょっと、まってよ、頭の整理追いつかないわよ。 こう話している中、ライトの点滅のように透けては戻ってを繰り返すあたしの手。 すこし、整理しよう。  
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