いち

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          まず一週間位前、あたしが洗い物をしてたら急にお皿を落とした。その時は手が滑ったんだ何て思ってたけど、今から思えばこれももう怪しいわよね。 それから時々、お風呂で体の一部が時々が透けてるような気がしていたのだけれど、それは逆上せたんだって思ってた。 そういえば昨日学校で、おまえ足おかしくないか?って聞かれたんだけど、それってもしかして…。 ゾワリ。 嫌な気持ちが身体を駆け巡る。状況が整理されていくほどに、自分の状況を理解するほどに、最悪の最期が思い浮かぶ。 「おじさん、あたし、死ぬの…?」 「ばっばーか!違う!…おまえは帰るんだ。これから、幕末に。」 「…幕末に?」 「その前兆として、体が透けたり、誰かの記憶からおまえが抜け落ち始める。」 そう言われて記憶を辿れば、昨日小学校からずっと一緒の友達に、あんた誰って急に言われたわね…。 おじさんが最近、声をかけると異常に驚いてたのももしかして…。 「いいか、これから説明するからよく聞け。そして頼む。 受け入れてくれ。それしかないんだ。お前は、幕末で生まれた子なんだ。」   おじさんの本気の目に、あたしも覚悟を決めた。 向かい合って座るおじさんの言葉を、あたしは全て聞き入れる覚悟をした。
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