第1章 スタート

11/26
前へ
/85ページ
次へ
『支度終ったよ』  一呼吸開けてドアを開けたが、両親は密着して事もあろうお母さんがお父さんの首元にキスをしていた。  絶対に絶対に絶対に見たくなかったのに!!  こんな親には絶対にならない! 「じゃぁ、行くよ」 『はい』  車に乗り、向かう先は三井の豪邸とは逆の方向を走っている。  お爺様の所へ行く前に挨拶する所があるって言ってた。そこへ向かっているのだろう。  何故かお母さんは超が付くご機嫌。逆にお父さんは不機嫌……不機嫌というより嫉妬している? 「秀さんが1番よ」 「俺も留美が1番だよ」  何処でもラブラブしないでよ。密室のイチャイチャは窒息しそうだよ。  親友の親も驚くのだから、一般家庭は違う。  いい年して!って言いたいけど、言ったら後が怖いから。  前科有りってやつで、その日の晩御飯が私だけご飯とお味噌汁だけだった。  2人は……確か、葉山牛のステーキだった。 「着いたよ」  高級住宅街で車は停まった。私の1人暮らしと、三井の豪邸と同じ位大きいお屋敷がどう関係あるのだろう。  まさか、此処に3年間住むの?此処の大家さんにご挨拶とか?  1人暮らしでこの広さは贅沢を通り越して、寂しいかも。 「お久し振りです」 「今日は帰っていたんだ」 「はい。久し振りのオフなんですよ」
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加