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渡瀬って、お父さんが問題を出した財閥の「渡瀬」だよね。
一気に私と財閥との距離が縮まる。
それと同時に母の緊張感が手に取るように分かる。
私は今日まで一般家庭と同じ様に生活をしてきた。それが急に財閥の人達と知り合い、お世話になる。
……お世話になる?
4月からお世話になる……って事は1人暮らしは無し?
この豪邸に1人で暮らすなんて考えられない。
それにお父さんは「お世話になる渡瀬さん」と言った。
ざっくり言えば、3年間この大豪邸「渡瀬家」にホームステイするということだろう。
「頑張って試験受けたんだから通いたいよね」
『はい』
通いたいのもあるけれど、私が1番したい事は1人暮らし!
「宜しくね」
『宜しくお願いします』
深々と頭を下げた。先ずは大お兄ちゃんを説得させて、申し訳ないけれどお爺様に援助をして貰おう。
「どうぞ中へ。皆揃っていますので」
皆……渡瀬家の総帥が居るの?緊張してきた。
チラッとお母さんを見ると、ゆっくり瞼を閉じ一呼吸開けてゆっくり開いた。
そしてお父さんが背中を押した。
『お邪魔します』
中へ入ると、やはり三井の豪邸と変わらない賢覧豪華な家具、絨毯、そして装飾品。
以前中世ヨーロッパが舞台の映画を見た時に見た様な物ばかり。
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