第1章 スタート

13/26
前へ
/85ページ
次へ
 渡瀬って、お父さんが問題を出した財閥の「渡瀬」だよね。  一気に私と財閥との距離が縮まる。  それと同時に母の緊張感が手に取るように分かる。  私は今日まで一般家庭と同じ様に生活をしてきた。それが急に財閥の人達と知り合い、お世話になる。  ……お世話になる?  4月からお世話になる……って事は1人暮らしは無し?  この豪邸に1人で暮らすなんて考えられない。  それにお父さんは「お世話になる渡瀬さん」と言った。  ざっくり言えば、3年間この大豪邸「渡瀬家」にホームステイするということだろう。 「頑張って試験受けたんだから通いたいよね」 『はい』  通いたいのもあるけれど、私が1番したい事は1人暮らし! 「宜しくね」 『宜しくお願いします』  深々と頭を下げた。先ずは大お兄ちゃんを説得させて、申し訳ないけれどお爺様に援助をして貰おう。 「どうぞ中へ。皆揃っていますので」  皆……渡瀬家の総帥が居るの?緊張してきた。  チラッとお母さんを見ると、ゆっくり瞼を閉じ一呼吸開けてゆっくり開いた。  そしてお父さんが背中を押した。 『お邪魔します』  中へ入ると、やはり三井の豪邸と変わらない賢覧豪華な家具、絨毯、そして装飾品。  以前中世ヨーロッパが舞台の映画を見た時に見た様な物ばかり。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加