第1章 スタート

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第1章 スタート  中学の卒業式も終わり、高校から出された課題(春休みの宿題?)をこなしている。  難しくないが朗らかな日差しの中、室内でせっせと机に向かっているのは勿体無く感じる。 『あと1ページかぁ』  レースのカーテンを開けると、川沿いの桜が見える。  残りの宿題を考えても余裕だから部屋を出た。  やっと手に入れた携帯で親友2人に連絡を入れたら、課題が終っていないと断られてしまった。 『もっと前からやっておけば良いのにねぇ』  薄手のスプリングコートを羽織り、愛犬ポポを呼ぶ。  お利口さんでリードを咥えて近寄ってきた。尻尾は千切れそうなほど振って可愛さ100%。 『お花見に行って来るね』  リビングに居る母に声を掛けると「は~い」とほのぼのとした声が聞えた。  ポポを連れて川沿いを歩く。  この道の先に見える大きな悠然と建つのが峰嶺学園で、夢への第1歩。  私の目下の夢は1人暮らし!  溺愛する両親は大大大反対だけど、絶対にする!  高校に入ったらバイトをしてお金を貯めて大学入学と同時に1人暮らしをする。  親友2人は笑うけど、夢なんだ!! 『わぁ、満開だぁ』  ポポを抱えると、ポポも見上げさっきと同じ様に尻尾を振っている。 『入学式まで散らないかな?』  近くのベンチに座り、満開の桜とその隙間から見える青空を見上げている。  すると柑橘系の香りが鼻を擽った。 「入学式までギリもつでしょう」
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