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『私も4月から峰嶺にお世話になるんです』
「そうなんだ!では、次俺って格好良い?」
『はい。言われませんか?』
「兄貴達は言われるけど…」
本当のイケメンの人も自覚無いんだ。
それに予想通りお兄さんたちも格好良いんだ。身内の人が格好良いって事は本当に格好良いんだ。
それから何気ない話をしながら老夫婦の様に桜を眺めていた。
するとポケットから「電話だよ。電話だよ」と着信を知らせた。
「分かりやすい着信音だね」
『はい。可愛くないですか?』
「可愛い声だよね」
返事をして電話を出ると母からだった。散歩を切り上げて帰ってくるようにとの事だった。
イケメン先輩に謝罪を入れ、ポポを抱えると離れがたそうに先輩を見ている。
「俺も寂しいよ」
と言って撫でてくれた。そして私の顔をジッと見た。
「4月を楽しみにしてるね」
『はい!』
足早に帰っている途中で気付いた。先輩の名前を聞き忘れた……。
楽しみにしていると言ってくれたけど、峰嶺は普通科・英文科・特別進学科に分かれている結構大きな学校だ。
しかも初等部・中等部・高等部が入っている。
あの制服は高等部だから高等部しか分かっていない。私が入学するのは特別進学科、通称特進科。
イケメン先輩が特進科なら直ぐに出会えるだろうけど……。
『ただいまぁ』
靴を拭い、玄関に置かれているポポの足拭きタオルで拭き家に上げる。
一足先に歩き、リビングの前で止まり開けるのを待つ。本当にいい子!
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