第1章 スタート

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『峰嶺に行きたいの!峰嶺に行くために頑張ったの!』  此処で怯んだらアメリカへ行く事になる。  こんな絶好のチャンスを逃すわけにいかない。3年早く夢が叶うのだから。 「でも、総帥…お爺様は家族でと言っているんだ」  総帥って……うちは本当に三井財閥なんだ。 「貴方、大事な事を伝え忘れているわよ」 「何だ?」 「やだぁ、秀さんが長男だって事」 「大事な事か?」 「そうじゃない。だって秀さんが時期総帥でしょ」 『お父さんが時期総帥?』  やっと落ち着いたと思ったら、また凄い事を投げられたよ。  うちってバッチリ三井の本家って事じゃない。でもなんで家って建売なの?  別に建売が嫌って事ではない。ずっと住んできているのだから、今更豪邸に住めと言われる方が大変だ。身の置き場に困る。 「お爺様から最終試験って所だろう」 『最終試験?』 「業績の悪い所へ栄転させて技量を見るんだよ」 『それって栄転って言うの?』 「最終試験まで来れたって事で栄転」  お父様、凄いポジティブシンキングだよ。  でも、お爺様の考えも一理あるよね。  明治前から続く三井家を維持し、発展させる為には逆境も乗り越えないとダメだよね。 「家族の支えがあって仕事は成功するが総帥の考えだから」 『でも、私の3年間はどうなるの?』 「姫……」 『どうしても峰嶺に行きたいの!お願いします!』 「秀さん、どうします?」
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