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『峰嶺に行きたいの!峰嶺に行くために頑張ったの!』
此処で怯んだらアメリカへ行く事になる。
こんな絶好のチャンスを逃すわけにいかない。3年早く夢が叶うのだから。
「でも、総帥…お爺様は家族でと言っているんだ」
総帥って……うちは本当に三井財閥なんだ。
「貴方、大事な事を伝え忘れているわよ」
「何だ?」
「やだぁ、秀さんが長男だって事」
「大事な事か?」
「そうじゃない。だって秀さんが時期総帥でしょ」
『お父さんが時期総帥?』
やっと落ち着いたと思ったら、また凄い事を投げられたよ。
うちってバッチリ三井の本家って事じゃない。でもなんで家って建売なの?
別に建売が嫌って事ではない。ずっと住んできているのだから、今更豪邸に住めと言われる方が大変だ。身の置き場に困る。
「お爺様から最終試験って所だろう」
『最終試験?』
「業績の悪い所へ栄転させて技量を見るんだよ」
『それって栄転って言うの?』
「最終試験まで来れたって事で栄転」
お父様、凄いポジティブシンキングだよ。
でも、お爺様の考えも一理あるよね。
明治前から続く三井家を維持し、発展させる為には逆境も乗り越えないとダメだよね。
「家族の支えがあって仕事は成功するが総帥の考えだから」
『でも、私の3年間はどうなるの?』
「姫……」
『どうしても峰嶺に行きたいの!お願いします!』
「秀さん、どうします?」
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