3月20日、とある高校の終業式

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「いやー、君が同級生の女の子から叩かれたそうな後ろ姿をしていたからさぁ」 「どんな後ろ姿だ!」 乱暴な朝の挨拶をしてきた女生徒は掛川(かけがわ)みひろ、隣のクラス、出席番号9番。 ショートカットに切れ長の眉、幼い頃から男子に混ざってスポーツをしていたおかげか、スラッとしたモデル体型で。 同級生の女の子の中でも度を超えて、頭一つどころか二つも三つも超えてボーイッシュな、言うなれば男の子っぽい女の子。 ちなみに掛川とは中学からの付き合いだけど、あまりに男の子っぽすぎて色恋沙汰に発展しそうな気配は全くない。 「なはははは、ゴメンゴメン♪あっ!私急いでたんだ、明後日からの用事でね、だから先行くねん♪」 「いやちょっとまずは謝るとか・・・・・て、走って行っちゃったし、はぁ、全く掛川はもう少し女の子らしくならないのかな・・・・・・」 黙っていれば可愛いのに―――。 「っ!」 急に後ろから突き刺さるような視線を感じた。 でも振り返っても誰もいない。 なんだ?今のは・・・・・・。 「・・・・・・うん?」 いくら頭をひねっても分からなかった。 だって彼女の家は、僕の家とは学校を挟んで反対にあるんだから。 僕の通る通学路に彼女がいるはずがないんだから。
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