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必死に顔を横に振って否定する。
なんて勘の鋭い人だ・・・・・・。
先輩の体つきについて考えていたなんて、今口に出したらどうなるか分かったもんじゃない。
「ふむ、そうか・・・・・・私の勘も当てにはならないな・・・・・・」
「いや!先輩あの・・・・・・考え込む前に上段の構えを解いてくれませんか?」
「む!あぁ、変な視線を感じると無意識に構えてしまうんだ、すまないな!」
指摘すると先輩はあっさり構えを解いてくれた。
あぶね、胸に視線が行ってたことは気付いてないらしい。
助かった・・・・・・。
あ、そうそうちなみに式見先輩は剣道部部長と風紀委員長をしている。
だからってことは無いはずなんだけど、先輩はいつも堂々と木刀を持ち歩いている。
なぜだか先生たちはそれを注意したりはしない。
「あの、先輩・・・・・・前から訊きたかったんですがなぜいつも木刀を――」
気がつくと先輩はなぜか僕の後ろをキツく睨んでいた。
どうしたのだろう?
「先輩、先輩!」
何度か呼び掛けるとハッとした顔でこちらを見る。
「・・・・・・また私の勘違い、か?・・・・・・話しすぎたようだ、私はこのまま体育館に直接行くからな、君も早くしないと間に合わなくなるぞ」
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