3月20日、とある高校の終業式

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わざとらしく大きく頷くゆかりさん。 「嘘だ!待って待って!無理だって帰宅部の僕にはそんな筋力――」 「えいっ♪」 「ホントに跳んだー!!!」 全く躊躇せずに階段の一番上からジャンプした彼女は、寸分の狂いもなく僕に向かって落ちてきた。 可愛いと評判の制服がふわりと空気を含み、一瞬だけまるでお嬢様が着るドレスのようになった。 加えて彼女は目を閉じている。 それは本当にあの、ジブリ作品にある飛行石を持った少女の登場シーンに似ている・・・・・・気がした。 「ぐふ!」 そんなことを考えた直後、ドシーンと大きな音が響き渡った。 なんとか堪えようとしたけれど、無理でした。 えぇ無理でした。 予想通り倒れました。 「だから無理だって言ったじゃないか」 背中いてぇ・・・・・・。 ゆかりさんは背中から倒れ込んだ僕の腹の上に乗っている 「でもちゃんと身を挺して受け止めてくれました」 「まぁ、そうだけど・・・・・・大体僕が避けるってことは考えなかったの?」
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