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警視庁……というよりクレタ警察本部についたのはそれから15分後であった。
『ご苦労様です!』
「ありがとう。」
エナとレルバはクレタ警察本部の自動ドアをくぐると、警備員だろう青い制服を来た青年がエナに向けてキレイな敬礼を向ける。
そこで、レルバはふと思い出したようにエナの背中目掛け口を開いた。
「そう言えば、警部さん……でしたよね?」
「えぇ、まぁ。」
「それは凄い! お若いのに大したもんです!」
「ありがとうございます。」
レルバは心底そう思っていた。
警部と言えば、そうそうなれるものではない程度にしかレルバは知らないが、それがどんなに大変だったか想像に難くない。
しかし、レルバには一つ気掛かりなことがあった。
『…………………。』
「…………………。」
「レルバさん、どうなされましたか?」
「あぁ、いやぁ……なんでもありません。」
「? そうですか。」
気掛かりなこと。
それはスレ違う者がほとんどレルバを注視していたからだ。
いや、それじたいはレルバは今まで散々味わってきたそれとまったく同じだったのだが、どうにも他の念が籠っているようにしか感じられなかった。
その時だ。
「エナ警部! 犯罪者でも捕まえたのかい?」
窓口から身を乗り出してこちらに声をかける中年女性がいた。
その中年女性が発した言葉により、レルバは先ほどの気掛かりなことを、納得はしていないものの理解はした。
(私ゃそんなに悪人面か?)
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