祝、開店

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「では改めて、私はクレタ警視庁刑事部捜査第一課第二強行犯第一係エナ・ケアルと申します。役職名は警部……まぁ係長みたいなものです。」 「はぁ、まぁこれはこれはご丁寧にどうも……。」 レルバがエナに連れられて奥に入ると、そこは取調室……とは言い難い小さな会議室に通された。 中は至って質素。 会議室の真ん中に長テーブルを拵えて遂になるように五つの事務的な椅子が列べられている。 そして、側面の壁側にはホワイトボードが設置してあり、何枚かの書類が磁石で貼り付けられている。 そんなところにいるレルバは事務的な椅子には座っておらず、長テーブルの直ぐ側に身を小さくして立っていた。 これは事務的な椅子に付いている肘置きや強度の問題で座れないのだ。 対するエナはレルバの向かい側の椅子に座っており、何枚かの書類をパラパラと捲りながら言う。 そのエナの左後ろには警部補だろう警官が直立不動の状態で立っている。 「あなたの名前はレルバ・ガングレリ・バーレイグさんですね?」 「えぇ、はい。レルバと呼んでください。」 「バーレイグ……『焔の瞳』。変わった名ね。」 「まぁ……家名みたいなものです。それで警部さん、私に話しって?」 「先日のクロダ・ジョルジュ殺害未遂のことでお話しをと。よろしいですか?」 クロダ・ジョルジュ。 レルバが仕事として初めて助けた老人だ。 犯人はなんと息子のクロダ・ドラグル。 今の時代も親殺しをするもんなんだな、とレルバは沁々に思いながらエナの質問に答えていくのだった。
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