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レルバが事務所を構えることになった首都クレタは、人口が1000万人強と世界的に見ても異常とも言えるほど大規模な首都だ。
そのため、自然と商業関係の建物が首都の中心部を占め、人々が住む住宅地はその周りを囲むように連なっている。
レルバの事務所も例外ではない。
だが、
「客、来ないなぁ。」
開業から早一週間。
レルバの事務所には人っ子一人として訪れないのである。
初仕事は無事にこなしたものの、やはり閑古鳥が鳴いているだけなのである。
場所が悪いのか、はたまた宣伝も何もしていないのが悪いのか、今のレルバにはわからなかった。
当然と言えよう。
そんなレルバの構える事務所は一呼んで『生かし屋』と言い、文字通り“何者も生かす”というのがこの事務所の請け負う内容。
普通の人……いや、今に殺されそうとしている人が、好き好んでこんなところへと来るわけがないのだ。
そんなことを知らないレルバは、開業したての頃は朝早くに起きて上機嫌でシャッターを開けてたっけなぁ、とレルバはまるで一週間前のことを昔のように思い出すのであった。
『生かし屋』レルバ。
ただいま絶賛暇中である。
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