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レルバ自身もこんなところで話しかけられると思っていなかったのか、その巨体の肩がビクッと跳ね、恐る恐るといった感じでレルバは声の方へ振り向いた。
すると、レルバが振り向いた先には青い制服のような服を着た金髪の女性がこちらを見上げるような形で立っていた。
女性の右胸辺りに大陸を代表する警察庁のワッペンを着けているところからこの女性は婦警さんなのだろうとレルバは思った。
婦警がこんなところにいるとしたら恐らく巡査中か、それともレルバを不審がった一般人が通報したかのどちらかだ。
が、どちらにせよレルバは自分が話し掛けられる覚えがなかった。
「あなた、掲示板に何か貼ったわね? 掲示板は一般人が勝手に使ってはいけないのよ。」
「あいや! そうでしたか! これは申し訳ございませんな。」
レルバはその大きな熊手で自らの額を『びたん!』と叩くと、先ほど貼った宣伝の紙を剥がし始めた。
だが、レルバのその大きな熊手では貼り付けた時に使った画鋲が上手く抜けない。
その光景に見ていられなくなったのか、はたまたいつまでも画鋲に悪戦苦闘をしているレルバにイライラしたのかはわからないが、先ほどの婦警がレルバと掲示板の間に割り入った。
「任せなさい。あなたの大きな手じゃ取れないでしょ?」
「むう……面目無い。」
そして、見てしまう。
「『生かし屋』……?」
その宣伝文句を。
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