337人が本棚に入れています
本棚に追加
――アレンくん、やっぱり黒が似合うよ。noir(ノアール)っていわれるだけあるよなぁ~。
顔を紅潮させ、そう思う。
ミオビジョンで、今のアレンは物凄く輝いて見えていた。笑顔は更に輝いていて、胸がトキメく。
心拍数がヤバい。
それに比例して、呼吸数も増大する。
もしかして、アレンは好きな子などいるのだろうか。
好みのタイプはどんな子なのだろう。
好きな食べ物は何だろう。
脳内で様々な疑問が渦巻く。
聞いてみたいが、もし自分に気があると気付かれた暁にはと思うと、無理だ。
心臓が脈打つのを感じながら、アレンを見る。
今度の彼は、絶望感と惨敗感たっぷりの顔でレインを見つめていた。
ミオはレインを流し目で見ると、恐ろしいくらいの満面の笑みで彼を見つめ返していた。
「悪いな、アレン。あっがり~」
どうやら、またレインが勝ったようだ。
嘲笑ってアレンに向かって、ドヤ顔をするレイン。
これで彼は連勝。
アレンは連敗。
六回中六回、アレンは負けてしまったらしい。
「ぐがぁ~っ!!」
アレンはトランプのジャックを床に叩き付け、本気で悔しがる。
彼のその姿もまた、ミオの乙女心をくすぐった。
またプライドが赦さないのか、今度は神経衰弱でレインに勝負を申し込んだ。
それよりこの狭いヘリの中で、どうやったら神経衰弱できるかが不思議でならない。
それでも、やはりミオはアレンは負けると確信していた。何回やっても、勝てはしない。
アレンもそれが解ってるとはずなのに勝負を挑むその向上心は、自分も見習いたいものだと感心する。
普段もここまで熱心であればいいものを。
そこまで考えてから、ミオは何を考えているのだろうとカァッと頬を淡く紅く染め、恥ずかしさのあまり本に顔を埋めた。
それぞれが有意義な時間を過ごしながら、任務遂行地である《バージ・タウン》に向かう。
最初のコメントを投稿しよう!