第三章

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 † 門(ゲート)とは下層部と中層部と上層部を繋ぐ各層に一つしかない門だ。 全長約二十メートル、幅約二十メートル。 ほぼ正方形の門で、門の中央部には国家の紋章を表す獅子と翼を模したエンブレムが描かれている。 ミオは昔にアレンが「俺はこの門と紋章が気に食わない」と、いつもと違う感じの雰囲気を出しながらそう言っていたのを思い出す。 こんな馬鹿でかい門を作る金があるなら国民に配ればいいのにと、少し怒り気味だった。 アスリナから聞いた話だでは、アレンは本当は下層部出身で中層部や上層部からは酷い仕打ちを受けていたらしい。 だからアレンは、上の二層の事をあまり良く思っていないようだ。 中層部や上層部の人達が下層部に酷い仕打ちをするなんて、言い方は少し悪くなるが彼女は胸糞悪いと思った。 話を聞いた時から門を見る度に募る想い。 しかし、今はそんな事を考えている時間の猶予はない。 大嫌いになったこの門でも、危険な状態ならば守らなければならない。 もしこの門に何か問題が起きたら、魔獣が津波のように層に入り込み、大変な事態となってしまう。 魔獣が層に攻めてくれば、想像できないほど大勢の人達が犠牲になる。 最悪の事態はどうしても避けたいミオ達は、駆け足で門へと向かった。 そんな時でも、アレンに目がいってしまう私は変なのだろうか。 ミオは前を走る想い人を見て胸が痛んだ。 「うっわ……」 門に来て先に声を発したのはレインだった。 ミオよりも数々の魔獣と戦ってきた二人は草陰に隠れながら顔を見合わせ、この状況に口をあんぐりとさせた。 門の前に、異常なまでに数が多い魔獣の姿があったのだ。ざっと見積もっても、五十は優に越えている。 何百匹の魔獣と戦ってきた二人でも、これほどまでに群がる魔獣を見たことがないらしい。 勿論、ミオも見たことがなかった。 恐らくアスリナ教官やクリス隊長、その他の手練れの隊員も見たことがないだろう。 「わんさかいるな……」
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