第三章

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――もし、またアレンくん達(特にアレン)が何かを壊したら、アスリナ教官が何をするか判らない。 自分や門よりも二人――特にアレンの事を心配しているのにミオは気付き、人知れず顔を赤らめた。 そして、自分だけが一人取り残されている事に今やっと気付き、少し遅れて戦場へと向かった。 「打撃破っ!!」 こちらに走ってくる魔獣に向かって、トンファーを構え、魔獣を連続で二、三回叩きのめすアレン。 叩かれた魔獣はきゃうんっと情けない鳴き声を出したと思うと、大急ぎで門(ゲート)をよじ登り、下層部にと逃げ帰っていった。 後ろではレインが剣で魔獣を薙ぎ払っていく。 横から飛びかかってきた魔獣を右手で掴んでいる剣で払い、正面から突進してきた猪型の魔獣を左手に持っている銃で撃った。 真っ赤な鮮血が辺りに飛び散り、地面を真紅に染め上げていく。 一人だけ息が上がっているミオは、向かってきた魔獣数匹に矢を撃ち込むと、深呼吸して再び構えた。 ふと、前線で戦っているアレン達の方に目をやった。 自然とアレンの方に視線を移したミオは、狼型の魔獣が彼の死角から襲おうとしているのに気が付く。 急いで弓を構えて魔獣に照準を合わせようと目を細めた時、いきなり隠れていた草陰から飛び出し、アレンに一直線に向かっていった。 ――照準を合わせている場合じゃない……っ! そう悟ったミオは照準を合わせるのを止め、一回だけ魔獣の位置を確認。ここからのアレンへ辿り着く時間と順路を推測し、すぐさま矢を放った。 「火妖破っ!!」 炎の聖力(アーク)を纏った矢が、まるで獲物を追う獣のように、真っ直ぐと魔獣を追いかける。 聖力とは、聖力樹(アークエル)から放出される非物質エネルギーで魔法の根源である。 生活にも魔法にも使用でき、無論、戦闘にも使える。 こういう風に武器に聖力を纏わせれば、様々な属性が武器に付くので、戦いには欠かせないものだ。
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