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この間にも魔獣はじりじりとアレンとレインを取り囲み、今にも襲ってきそうな勢いだ。
汗が一筋流れる。
「そういうレインこそ……息上がってるぜ。……運動不足か?」
「……誰がっ!」
剣を構え、レインはアレンの言葉を遮るように横から来た魔獣を一刀両断する。
アレンはニッと笑い、再び背中合わせで魔獣の群れに突っ込んで行った。
後方から魔法や矢を放って援護をしているミオは、二人の動きを見て感心した。
確かに、二人の息はピッタリだった。
攻撃で動きが少し鈍くなるアレンをレインが速さでサポートし、速さで攻撃力が低くなるレインをアレンが力で補っている。
絶妙のコンビネーション。
以心伝心で、二人の意思が疎通しあっていた。
その光景を見て、ミオは二人の関係を少し羨ましく思えた。
――……本当に心から信頼し合っているんだ。
二人とは昔からの仲なのだが、数年も前から知り合っていた二人の輪の中に、なかなか入れなかった。
数年という空白の溝は、ミオがどんなに頑張っても埋まらない。
だが、それでも――。
いつかはレインが立っている場所に立ちたい。
いや、そこじゃなくても、せめてアレンの隣に寄り添いたい。
少しだけでも、役に立てたかな。
戦いの最中、そう考えてしまったミオ。
きっとそれが、彼女に隙を与えてしまったのだろう。
後ろから襲いかかろうとしている魔獣に、気が付かなかった。
「ミオ!後ろだっ!!」
いち早くそれに気付いたアレンは、咄嗟にクナイを数本持ち、叫ぶと同時にミオの後ろにいる魔獣に投げつけた。
彼の言葉が聞こえてなかったミオは、アレンが自分に向かってクナイを投げた事に驚き、思わず目を瞑る。
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