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単調な生活を繰り返すだけのつまらない人生に諦めかけていたその頃、俺はよく“夢”を見るようになった。
最初は起きた時に、なんかイイ夢見たな、くらいにしか思わず、その日は夢の事なんてすぐに忘れていた。
しかし、次の日も、またその次の日も同じような内容の夢を見るうちに、ある事に気付いた。
どうやら夢の中の俺は、恋をしているらしい……
いつしかその夢を見るのが、いや、“彼女”に会うのがたまらなく楽しみになっていた。
つまらないはずの人生が楽しく思えた。
たかが夢だろと笑われても仕方ないと思う。
しかし、彼女の笑顔、透明感のある声は、全てがリアルに感じられ、とても夢の中とは思えなかった。
夢の中にいる時だけは、この現実を忘れられた……
思い出して、少しニヤつくと、急いで残りの弁当をかきこみ、ぬるくなったビールで流し込んだ。
歯磨きも早々に済ませ、時計を見ると、いつもより1時間は早かった。
明日も休みだし、いつもなら夜更かしするところだが、彼女に会いたい一心で、急いでベッドへ向かい目を閉じた。
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