『ようこそ物語へ』

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教室の窓に映った顔は、いつも通り冴えない。 純粋に授業が退屈なのもあるが窓の表面を洗って流れていく雨水も原因だ。 雨雲は太陽の存在を忘れさせてしまうくらい薄暗く雨を降らす。 ふと視線を教室に戻してみるが、6割くらいが机に顔を伏せていた。 まぁ、分からないこともない。 この先生の授業はいつも脱線して訳の分からない方向へと突き進んで行くからだ。 興味も無い、為にならない話を長々と話されたら学生としてはやはり机に顔を伏せて夢の世界へ旅立ちたくもなるだろう。 さすがに俺も少し眠くなってきた。 周りも寝ているし…… 少し寝ろう…… 徐々に視界は暗くなり、意識は闇へと沈んでいく。
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