小さな能力者の物語

『ようこそ物語へ』

正しく言うなら、先生も能力者だ。

今の時代、能力者っていう特別な能力を持つ奴なんて山ほど居る。

能力者の人口なんて車の免許を持ってる人の人口となんら変わらない。

たとえ口から炎を吐こうが、目からビームを出そうがこの世界に生きる人間なら何も驚かないだろう。

勿論、俺も驚かない。

能力にも色々めんどくさい分別があるんだが、正直覚えてない。

この先生の場合は……

まぁ、ようするにゲンコツだ。

この先生はゲンコツを飛ばせるんだ。

複数の人間にな。

『痛っ』

眠気がひいていくと、ジワジワと痛みが込み上げてくる。

頭を触ると、小さなタンコブが出来ていた。