ハーデンベルギア(前編)

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――キィ ドアノブに手を添えたまま屋上に足を踏み入れると、階段が暗かったぶん光が私の体を包み込む。 暫くそこから空を見上げた。 そして小さく伸びをして、ゆっくり息を吐く。 ……やっぱりここ好き。 足を前に踏み出しながら、いつも座るベンチに視線を向けた。 ……。 私は歩みを止めて、キョトンとした声を出す。 「へ……」 いつもは人気のない屋上。 今日はそこに、先客がいた。  
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