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「先生さよならー」
放課後、ピンク色が混じった空。
「バイバイ沙彩ちゃん」
私の席まで来て声を掛けてくれた白雪さんは、先に教室を出る。
一度こっちを振り返る彼女は、眉を垂らして捨てられた子犬のような顔。
けれど私が手を振り返せば、眩しい笑顔が向けられる。
……下まで一緒に行けば良かったかな。
まぁ……いいか、と手提げカバンを肩に掛けると、私も教室を後にした。
途中、後ろで1つに縛った髪をほどいて、ピコンと跳ねる毛束を結い直す。
そこまで重力に逆らう理由はなんなんですか?
当たり前だけど返ってこない答え。
余計にやきもきして、悪循環。
――チャ
暖かいのと冷たいのが混ざった風を頬に受けながら、正門を出た私は携帯を開いた。
「爪を噛む心理……これだ」
便利な世の中、分厚い辞書を捲らなくても簡単にさがしものが見つかる。
それなのに、自分が生きている価値とか意味を教えてくれるページは見当たらない。
やっぱり、自分で探せってことか……。
見つけ方が分からないのにどうすれっていうの。
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