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冴えない青年。
申し訳ないが、そうとしか形容できないような若者。
それが偶然、自分を“通った”。
自分は物体ではないから、当然ぶつかる事なくすり抜ける訳だが。
いつもは誰かが自分をすり抜けても、そのまま通り過ぎて事なきをえるが、この若者は違った。
背中に、自分の一部がくっついたみたいに、奴に“引っ張られて”いた。
奴の背中から自分が生えているような恰好だ。
冬虫夏草みたいだ。
では、奴は蝉で、俺はキノコかなんかか?
しばらく、状況は変わらなかった。
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