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背中に生えたきのこのような毎日での収穫は、背中の主が何者か知った事だった。
奴は二十代前半の青年。
名前も勿論あるが、名前など勿体ないような奴だ。
だが、あまり“奴”という言葉を多用するのもどうかと思うから、呼称を青年とする。
青年は学生でもなく、働いてもいない。
独り暮らしで、友人も恋人もいない。
親とも疎遠らしい。
たまに外出はするが、目的を果たしたらすぐ、四畳半のアパートに帰っている。
目的といっても、精神病院に通って、食糧を買うぐらいだ。
分裂…いや、統合失調症というのか。
青年の病名らしい。
しかし、背中のきのこみたいに引っ付いているが、変な独り言や、暴れるなどは見たことがないがな。
これが、病気といえるのか?
まあ、無気力さは病的だが。
病院で、青年は自分の病状がいかに辛いかを滔々と語る。
そして、適当な所で話は医師に打ち切られ1ヶ月分の薬が出る。
そして、銀行に行って金を下ろし、食糧を買う。
青年は少食らしく、両手に持てるくらいの食糧で1ヶ月過ごすのだ。
病気の影響か薬の副作用か分からないが、腹が減らないのだろう。
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