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「おはようございます」
校門に着くと、既に松田先輩が来ていた
「あぁ…おはよう」
初めて聞いた松田先輩の声は低くてよく響く声だった
「…それはなんだ?」
指指されたのは私が抱えている熊の縫いぐるみだった
「これは『くまおさん』です」
さくらは爽やかな笑みを浮かべて松田の質問に答えた
「…いや…そうじゃなくて…どうして「さぁ松田先輩!巡回に行きますよ!!」
さくらは『くまおさん』を抱えてまだ誰もいない校舎に向かって歩きだした
鈍い松田は(初めての巡回で緊張しているから縫いぐるみを持って来たのかもしれない)と勝手に思い、さくらを安心させてあげねばと思った
早朝の校舎は窓から朝日が差し込みとても幻想的だった
朝日が線となって廊下に何本も差し込んでいる
「松田先輩!綺麗ですね♪」
無邪気に笑うさくらを見て松田は素直に可愛いと思った
「でも巡回ってやらなくちゃいけない事なんですか?」
光の照らされた所だけを歩くという自分ルールに則って、ぴょんぴょん跳ねながら廊下を進む
「…校内巡回は…生徒会の仕事だったんだ。その仕事を…俺達に依頼してきた」
「そうなんですか…」
生徒会の仕事なのに依頼するって…
それって押し付けじゃない?
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