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それからしばらく、お天道様もすっかり沈んでしまい皆が眠りにつく頃。
よく晴れて澄み渡る星空の下で、ラッパ吹きとペトルーシカは静かに歌を唄っておりました。
「愛の唄かい。洒落た歌を歌うもんだね、お前さんの相棒は。」
“違うよ。これは僕の唄さ。”
ラッパ吹きは、いつものように隣へ腰かけたうさぎにそう答え、夜の空を見上げました。
“なぁ、うさぎ。愛というのは、どういうことだと思う?”
ラッパ吹きの問いかけに、うさぎは少しの間考えます。
「お星様、だな。欲しくて、欲しくて、引き寄せて、ひとつになっちまうんだ。しかしお前さん、どうしてそんな事を聞くんだい?」
ラッパ吹きはうさぎの問いかけには答えず、黙って空を見上げました。
碧く暗く漂う夜は、深い海のようにみえます。その透き通った水中を、白い光のつぶつぶが浮遊していて、その小さな胸で息をしていました。
“僕は、ペトルーシカを愛しているんだ。”
それはとても深い響きでした。うさぎへの返答のようであり、独り言のようであり、お星様への誓いのようでありました。ラッパ吹きはペトルーシカを抱き寄せると、そっと、流れ星のようなキスをしました。
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