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ラッパ吹きが、今日もラッパを吹いておりました。お天道さまの笑う、陽気な朝のことです。
ラッパ吹きの相棒は、(といいましても人や動物ではなく、彼の演奏する、錆び付いて緑のコケまで生えたトロンボーンのことでありますが)その名を、ペトルーシカといいました。
ラッパ吹きとペトルーシカは、まるで兄妹のように仲が良く、ラッパ吹きは道化のように踊ることができ、ペトルーシカはオペラのような素晴らしい歌を歌うことができたので、村ではたいそう人気者でありました。ラッパ吹きは生まれつき、口を利くことができませんでしたが、ペトルーシカが代わりに話してくれるので、ちっとも悲しくありませんでした。
「おうい、ラッパ吹きさん。今日も君の演奏を聴かせておくれよ!」
道行く人々は、ラッパ吹きを見かけると決まってそう声をかけるので、彼の代わりにペトルーシカは、『パラッパ、ラリホー!』と返事をしました。
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