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ある日のこと、ラッパ吹きが公園で二日に一度の食事をしていると、若草色のチョッキを着たうさぎが、隣へ腰かけました。
「やあ。お前さんが、ここいらで噂のラッパ吹きかい?」
ラッパ吹きは慌てて口の中の物を飲み込み、食べかけのパンを置くと、何度か力強くうなずきました。彼は、誰かに話しかけられるのが大好きなのです。
しかし、優しそうに見えたうさぎは、ラッパ吹きのパンを横取りして、むしゃりと、ひと口で食べてしまいました。
その上、「なんだ、パサパサであまり旨くないな」などとうさぎが言うので、ラッパ吹きはかんかんに怒り、“そのパンは村の人がくださった大切なお金で買った大切なパンなのによくも!横取りした上に、まずいだなんて!”と、ペトルーシカと一緒になって、ぐわんぐわんとでたらめに怒鳴り散らしました。
うさぎはというと、その剣幕に驚きこそしたものの、なんと次の瞬間には腹を抱えて笑い始めてしまいました。
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