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「くっ!?」
「ひっひひひ…、どうする?王様~?可愛い娘と最愛の妻を見殺しにして要求をのまないか、それとも言うことを聞くか」
それはいきなりの事であった。
宮殿内に賊が現れ、娘を人質に取られるまで10分も時間がかからなかったのだから。
急すぎる出来事に、王や娘、王妃や兵隊まで何が起きたか理解出来て居なかった。
ナイフを娘に突きつけながら、王の目の前で盗賊達は彼女の貞操を散らさせた。
そして王妃も、姫を出しにつかわれ、娘と同じ末路を迎えた。
王は自分の不甲斐なさを恨み、そして盗賊達を憎んだ。
もし娘や王妃が人質にとられて居なければ、自らで奴らの息の根を止めんとばかりに睨みつけて居る。
「さぁさぁ~?どうするよ~?もう少し娘と妻を可愛がって欲しいのか~?」
「ぐぅ…っ!」
王の口から血が垂れる。
歯を食いしばりすぎて、歯肉から血が漏れたのだろう。
王は、苦渋の決断を心の中で下した。
「わかった…。その要求を呑―――」
そう言いかけた直後、
バタンッと王宮の扉は荒々しく開かれた。
「ひぇっ!?」
扉から出て来たのは、 娘と大差ない年頃の少年。
怯えたような奇声をあげながら、突入して来たのだ。
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