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黄昏ブラザーズなどと呼ばれていることなどつゆ知らず、二人は窓枠に寄りかかり空を見上げていた。
学校の窓はちょうど腰ぐらいまでの高さがあるので、寄りかかるにはちょうど良い。
風が少し前髪で遊び、教室の中へと入っていく。まるでこの雰囲気に誘われたようだ。
「昨日さ」
「うん」
「調べたんだけどさ」
「うん」
「結局ダメだったんだよな」
「うん」
「休むことは叶わなかった」
「うん」
二人とも声に覇気が無い。目も死んでいる。
後ろの喧騒をモノともせずに自分の世界に入る二人だったが、現実逃避はあまり長く続かなかった。
「ふったりっとも!
な―にそんなとこでぼんやりしてんだよ、こっちに来い」
ブラザーズの間に入る司。それぞれの肩を掴むと、勢いで窓から引き離した。
「ああ……楽園が……」
未使魔 大輔が窓の外に手を伸ばす。
「…………」
東雲 豊も手を伸ばす。
が、その手がなにかを掴むことはなく、しきりに空を掻くのみだった。
今日は魔術師学校行事の日。
魔術師が楽しみにしている日である。
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