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リーダーが決まったところで、穂高はもう一度注目を集め、司に前に来るように言った。
教壇の前に来た司に、穂高はなにやら手渡す。灰色の小さな機械らしきものと、紙が数枚。
司はそれらを見ながら席に戻った。
穂高が言う。
「今日の行事は四クラスの対抗戦だ。ルールにもあるようにパワーバランスを一番最初に崩したクラスの勝ち。勝者は1組だけ、あとの3組は全て負けになる。
ちなみに、だ。今回の行事からいろいろ難しく、実践的になるぞ。前回までの行事はルールが事細かに書いてあったが、今回から違う。いろいろ自分たちで考えて、自分たちで行動しろ。これはほかのクラスも同じだからな」
どういうことだろうねと明徳が訊いてきたが、大輔は首を傾げた。
「俺からは以上だ。しばらくしたら呼び出しが来るかかるから、それから移動だ」
今回も魔術空間での行事。行事になると決まって良いことがない大輔はさらに憂鬱さが増した。そろそろ学校を舞台にしたものがでてきてもいいころだと思うのだが、他学年の配慮も要るためなかなか難しいのだろうか。
「……なんか変だね」
「なにがだ? 明徳」
「戦争なのに攻めと守りを決めてない」
そういえば、と穂高を見る。単なる決め忘れかと思ったが、リーダーを決めてそれを忘れるとは考えにくい。ということは、今回の行事に攻めと守りが必要ないのだろう。
戦争なのに。
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