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「今回は四神が相手だからそういうのが要らないんじゃないのか?」
「……かもね」
「それか、そういうことも勝手に決めろってことかも知れないな。自分たちで動いて自分たちで決めろっていうことらしいし」
明徳の首がコクリと動く。
そのとき、ノックすらなく教室のドアがやかましく開かれた。
人が三人、なにも言わず入ってきた。顔は見えない。宇宙服のようなゴツい服のせいで、体型もわからない。それぞれの手には一眼レフカメラを巨大化したようなものを持っていた。
突然の乱入者によって静まり返る教室。視線を集めた三人組は一言も発することなく洗礼された動きで教室に散らばった。
これだけをみればテロリストと疑われてもしかたないのだが、穂高の焦りの無い表情を見ると、どうやら違うようだ。
穂高を背中にして、机が並ぶギリギリに立つ。クラスの端と真ん中の等間隔に立つと、巨大化なカメラを胸の前に構えた。
一瞬、教室が白に染まった。
フラッシュを越え、トンネルを抜けてすぐに陽光を直視してしまったような痛いぐらい強烈な白だ。
一瞬にして視界が奪われたが、次の瞬間には残光を残すことなく視界は良好となっている。ファインダーを覗く仕草も見せていないのだから、ただのカメラであるはずないのだが、じゃあなんだと訊かれてもわからない。
三人は揃ったお辞儀を見せると、また声を発することなく教室を出て行く。
なんだあれ。誰かが言ったっきり、また静寂が訪れた。
3秒ほど沈黙が訪れたあと、
「準備は整ったな。じゃあ校庭に行くぞ」
穂高が言って、クラスに興奮が蘇ってきた。
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