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療が話してるときに、見えた。療の後ろにぼんやりと、立っていた。悲しそうに、申し訳なさそうに。
あれは、あれが、愛刀 夢追だ。
「なんだ。大輔にも見えてたんだ」
「見えたのは、今日からだ。……ということは」
「ずっといたわ。療がここにきてから、ずっと」
最初から、ということは、療がここに来る前から、愛刀 夢追は療に取り憑いてるということなのだろうか。
「お前は……あいつも刈るつもりなのか」
「つもり? 違うわ。狩るの。ねえ、大輔。忘れたの? 私がここにきた理由は幽霊”たち”を狩るためなの」
幽霊たち。
「最初からそう言っていたわ。私はなにも、誰にでも見える幽霊を狩るだけにきたんじゃないの。あの子も狩るために来たの」
幽霊たちってことは、複数形だ。
「なんで……見えるようになったんだ?」
「さあ。知ったからじゃない?」
「知った?」
「そう」桜は、ドアを見つめる。その向こうからは、物音が全く聞こえてこなかった。
寝てしまったのだろうか。それとも、動けないでいるのだろうか。
「大輔があの幽霊のことを知ったから、視えた。そういうことなんじゃない」
「そういうことって」
そんなもんでいいのかよ。
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