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「今回の血って、魔術師だけに使えるんだっけ? それともほかの種族にも使えるの?」
明徳のふとした問いに答えられない。そんなことないと思いたいが、実際はダメかもしれない。
「もしかしたらヒトなら大丈夫かもな」
「なんで? 大輔」
大輔は首を傾げる。
明徳が大輔を追求しようとした矢先、ガタッと音がした。見ると司が拳をわななかせている。
「献血した血を無駄なく使うためにも、オレの案を採用すべきだ! この世にいる全ての人間を吸血鬼にすれば人類みな兄弟に」
「あ、司。そろそろ献血に行く時間だよ」
「お前のその熱い血を抜いてきて貰えば少しは頭が冷えるんじゃないか?」
「いいなあ……、大村くんのその濃そうな血。多少少なくてもまったく問題なさそうだよね。ぼくの血と足して2で割ったらちょうどよさそうなのに」
「おまえ等な……」
頬をひくつかせながらにこやかに怒る司の額には血管が浮かび上っていた。
なんだ、献血の準備万端じゃないか。
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