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「というか、なんで療があの部屋で我慢できるのか理解できないわ」
「俺も同感だ。あの黒いカサカサがちょっとでも見えただけで鳥肌もんだぞ。死体を確認するまで目は閉じられない」
「え―? でも」
療は首を傾げる。
「寝てる間も寄って来ないし、気が付いたら側にいたってこともないし、安全じゃない?」
あれを安全と申すか。
「療、奴らは飛ぶんだ。しかも顔に向かって!
わかるか!? そーっと近寄ったところでいきなり飛びかかられる恐怖!! 尻餅をつかされる屈辱!! あ―、腹立たしい」
「大輔、多分療に言っても無駄よ」
「あ?」
「療はそんな経験ないから」
「まさか……!!」
「真実よ。ゴキブリに弄ばれた経験がないから一緒に暮らせるの」
信じられないと思い療の顔を見る。
療は笑顔で大輔の話しに首を傾げていた。
「大輔。療はね、太陽なのよ」
「たいよー? なんだそれ」
「いつもニコニコ、まるでお日様みたいでしょ。だからゴキブリは日光にあたるのが嫌だから、物陰に隠れて療に近寄らないの」
「そんな馬鹿な」
「ちなみに、愛もゴキブリに弄ばれた経験はないらしいわ」
「ああ、それは納得できる」
太陽。そう言われて療を見ると、なぜかまぶしく思えてくる。
「ちくしょー、なんで療ばっかり」
「さらにちなみに、太陽じゃないけど私は後光が刺してるからまぶしいわよ。ほら、一応神様だから」
「……死神にも後光って刺すのか?」
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