way of life―fourth―

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ゴキブリ談義はそろそろにして、療が本題にむかって話しの方向転換を計った。 自分の部屋のことをとやかく言われるのは辛いのだろう。占拠されたくなかったら、二人の部屋、できるなら全ての部屋に大輔の部屋と同じ魔術をかけるように要求をしてきた。 桜も特に付け足すことはないようで、療の要求に相槌を打つ。 「同じ魔術ね……」 魔術自体はそう難しいことではない。想像ではなく操作の部類に入る魔術だ。流れや動きを作るだけなら、難易度は低い。 ただ、 「……めんどうだな」 問題は回数だ。 魔術を魔術でコピーすることは不可能だ。短縮ダイヤルなんてものもないし、魔術を使うにはそのたびに言葉が必要だ。 要求に応えるためには何回詠めばいいのか……。 「大輔の魔術はだいたい何時間ぐらい持つの?」 療が訊いた。何時間とは微妙な訊き方だ。部屋によっても込めた魔力によって全然変わってくる。 この部屋、魔術を使った本人がいるこの部屋なら大輔の魔力が持つ限り何時間でも持つ。 だが、例えばここから離れた療や桜の部屋なら、込められた魔力によって変わる。それが魔術だ。 「一部屋だけに全力を込めれば一日中持つが、魔術を分散させればその分使用時間は減っていくな」
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