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「じゃあ、桜ちゃん、こういうのはどう? ダジャレ」
ダジャレ?
「ほら、つまらないダジャレを言うと空気が凍るって言うじゃん。あれを再現したらどう?」
どう、と言われたって、そう簡単に再現できるものなのだろうか。
名案とばかりに顔を輝かせる療の隣で、桜は顎に手を当てる。
「じゃあ……大輔。身を凍らすような寒いダジャレをどうぞ。
3…2…1」
「なぬ? え?
あ……
『藁』が、『笑』った」
まるで、時間が止まったようだった。
熱というのは原子の振動によって発生するらしい。ということは、振動さえさせなければ、熱は発生しないわけだ。
時間が止まれば、当然振動も止むわけで。
そうなれば当然寒くなるわけで。
「……笑えよ……笑ってくれよ、頼むから……」
「なんだろ、寒いんだけど、恥ずかしくてぼくの体が熱くなってく」
「布団が吹っ飛んだ、みたいな王道なら笑えたのに、ちょっと捻ってあるところが逆に腹立たしいわ」
うるせえやい。
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