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「し、修……?」
修は、走ってきたのか、肩で息をしている。
「なにが失敗したの?」
耳元に、いつもよりも低い声で囁く。
耳が弱いあたしは、ビクッと反応してしまう。
「べ、別に、修には関係ないし……失敗してないし!離してー!!」
あたしの嘘なんて、修には、お見通しで。
「嘘。言うまで離さない。」
またしても耳元……!!
「いっ、言う!言うから離して!」
本当は言う気なんかないけど、逃げる為には、コレしかない。
抱きしめる力が緩んだ瞬間、あたしは素早く修から離れて、走りだした。
「理奈!」
……素直になりたい。
走ってる間、そう思った。
だから、あたしは決めた。
修があたしを追いかけてきてくれたら、素直になろう。
だから、おねがい。
追いかけてきて。
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