猫の住むホテル

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招かれた先には受け付けがありそこにもフードを被った者が立っていた。 『こちらにお名前をご記入下さい。』 丁寧にそう言って名簿を俺の前に出してきた。 『あの~俺の来る前に誰か来ませんでしたか?』 俺は自分の名前を書きながら前のフードを被った者に尋ねた。するとフードを被った者がニヤリと笑ったように見えた。口は異常に大きく見えた。 『はい。お客様ぐらいの年齢の方が1時間ほど前に4人来られましたが…。それが何か?』 横にいたフードを被った者がどこかへ去って行った。俺は横目でそれを見ながら言った。 『いやね。ここに来る途中ではぐれたもんだから、先に来ているんじゃないかなって思ってね。来ているなら良かった。』 名前を書き終わりペンを置いた。 『それで彼らはどこに?』 フードを被った者をしばらく返事をしなかった。 『あの…』 フードからチラッと目が見えた。 『さぁ、部屋にお連れしてからはわかりません。』 『その部屋は?』 俺はそう尋ねてみた。するとフードを被った者はまた、黙ってしまった。 『お客様。』 後ろからいきなり声がした。振り返るとフードを被った者が立っていた。 さっき連れて来た者ではなく違った者のようだった。何故なら姿形は似ているが、声だけはみんな違っていたのだ。 『お部屋にご案内します。こちらへどうぞ。』 フードを被った者が手招きをした。一瞬だったがその手招きをした手が毛で覆われていたように見えた。だが、フードの服が体に対して大きい為に全てがすぐに隠れてしまうのだった。俺は気にも止めないでその者の後ろをついて行った。階段を登り二階へと案内され一番奥の部屋へまで行った。 『こちらです。』 扉を開け奥へと案内された。部屋の中は大きなベッドが中央にあり、思いのほか広かった。1人で居るには少し広いように思えた。フードを被った者は部屋の説明を一通りすると頭を下げ出て行った。 『うわ~デッカいベッドだ。』 俺は子供のように飛び乗り、はしゃいだ。窓からは何も見えず、空には星が輝いていた。 『風呂はどんなんだ?』 部屋の右側に扉があり、開けてみるとそこには、6畳の風呂場があった。 『なんだよ。ここの風呂場は俺の部屋ぐらいあるよ。このホテルは値段の割には凄いな。予約していたホテルとは比べ物にならないや。予約されてなくて正解だったかな。ハハハ…。』
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