河童

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小さい頃、近くの川で不思議な生き物を見た。 俗に言う河童だ。 最初は水面に何かが、浮かんでいるだけだと思ったが、河童だったのだ。 茂みに隠れて見ているとその河童は辺りを警戒しながら、岸に上がって来た。 その河童はどうかしたのか、足を引きずっている。 良く見ると怪我しているみたいだった。 か細い声でクワァ~と何度も泣いていた。 クワァ~クワァ~ 僕は恐る恐る近づくと足には大きなトゲが刺さっていた。 僕はニッコリ笑って河童を見た。 河童は不思議そうな顔をして僕を見て頭を傾げる。 そっと足を握ると少しバタついたが、静かになって僕を見る。 そっとトゲをつかみ抜いてあげると河童はクワァ~と鳴いた。 しかし、痛みが無くなったのか、はしゃいで飛び跳ねている。 しばらく、飛び跳ねていたかと思うと頭を下げ川に戻って行った。 川の中央辺りまで泳いで行くと一度こちらを見ると川の中に消えて行った。 それから何度か、川を見に行くが河童は現れなかった。 河童の事も忘れたある日、川で僕は釣りをしていた。 その日は朝から全然釣れなく諦めて帰ろうとした時に水面に何かが浮かんでいるのを見つけた。 そうそれは、あの時の河童だった。 河童は僕の所に近づくといっぱいの魚を投げて来た。 そしてクワァ~と鳴くとまた川の中に消えて行った。 それからはあの河童は見ていない。 大人になった今でもその川を見るとあの時の河童を思い出す。 まだ、元気にしているのだろうか? 川でクワァ~と鳴き声を聞いたら、それは河童かもしれません。
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