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いったいどれだけ歩いただろう。友人5人で旅行に来たのだが、ホテルは予約がされてないし、新たに見つけたホテルに向かう途中でレンタカーが故障するし、みんなとははぐれるし、最悪な1日だった。しかし、これからもっと大変な目に合うとは思いもしなかった。
山道を抜け出し頂上に向かう道に出た。
『やっと道に出た。この道を登って行ったらホテルに着くはずだけど…。それにしてもみんなはどこに行ったのだろうな。』
少し太り気味だった俺は、必死にみんなの後を付いて行ったのだが、ふと前を見ると誰も居なくなっていた。だけど、普通は遅れた者をほっといて先に行くだろうか?もしかして俺って嫌われていたのか?どっちにしてもこの道を登ってみるしかなかった。
ハァハァハァ…
永遠と思われる坂を1人歩いた。木々の隙間から何か建物のような物が見えた。近くには《ホテルはこちら》と言う看板も立っていた。
『あれが、ホテルかな?』
今までの疲れも吹っ飛ぶ勢いで歩いた。そのホテルはどちらかと言うと西洋風の屋敷のような風貌をしていた。しばらく歩いてその姿がはっきりする位置に来た。
『もしかしたらみんなも来ているかもしれないな。』
俺は大きな門を通り抜けホテルへと向かった。そこには大きな扉があり、大きなヨーロッパの棋士の彫り物が施されていた。
コンコン…
扉を叩いてみた。中からの返事がない。扉に耳をつけてみたがなんの音もしない。
『誰も居ないのかな?』
コンコン…
再び扉を叩いてみた。だが、誰も出てくる雰囲気がなかった。
『ここはホテルではないのかな?』
諦めかけて帰ろうとした。
ガチャ
すると後ろで扉の開く音がした。振り返ると扉が少し開き中から何者かが出て来た。
『いらっしゃいませ。』
そこには黒いフードを被った者が立っていた。
『あの~ここってホテルですよね?』
そう尋ねるとその者はフードの中でにっこりと笑ったように見えた。
『はい。ここはホテルです。さぁ中へどうぞ。』
フードを被ったその者は中へと手招いた。俺は半信半疑であったが、後をついて入って行った。入った瞬間、後ろの扉が閉まった。
『さぁこちらへ。』
そう言われた瞬間、辺りが明るくなった。初めて気が付いたのだが、至る所にフードを被った者達がいっぱい立っていた。
『ここはどんなホテルなんだ?』
ボソッと言いながらフードの者の後をついて行った。
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