光のヌンチャク隊

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まさしが小学校四年生の頃である。 突然にブルース・リーのブームがまき起こった。 それはあっという間に学校中の男の子の間に広まり、ブルース・リーは世の男の子達の中において、神様みたいな存在となっていった。 その大ブームの中、まさしの学校で、みんなの人気を一手に集めた一人の男の子がいた。 まさしの同級生の平野君である。 何故そんなにも人気が出たかと言うと、平野君は誰が見ても文句がつけられないほどに、ブルース・リーとそっくりな顔をしていたからである。 「ブリース・リーが十歳の時は、僕と瓜二つだったんだよ」 ブルース・リーが十歳の頃の写真を見たから間違いがない、と平野君が言った。 その時には平野君以外は、誰も十歳のブルース・リーの写真を見ていなかったにもかかわらず、異論を唱える男の子は誰一人現れなかった。 本人もすっかりその気になり、ご苦労なことに毎日一生懸命ヌンチャクの練習にはげむありさまだ。 それは甲子園出場を目指す坊主頭の野球球児が真剣に練習に取り組む姿に、少しもひけをとらないほどだった。
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