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しかし、僕は今からそのミーシャに会わなければならないのである。
---気が重い。
会うだけでもイヤなのに、その上今回なんて・・・あいつに、ミーシャに頼み事をしなければならないのだから。
それが今日、僕が教会へとやって来た本当の意味での理由なのだ。
僕は帰りたくなる気持ちを無理に押さえ込んで、バクとの会話を続ける。
「まぁ、いい。バク、そんなことより、とっとと扉を開いてくれ。渋々だが、ミーシャに頼みたいことがあんだよ」
「ミーしゃんに頼みたいこと?ふぅん、リオンの兄ちゃんが珍しいね。兄ちゃん、ミーしゃんのこと毛嫌いしてるくせに」
「ミーシャじゃなきゃ、頼めないことなんだよ」
「へぇ。それじゃあ、バクもリオンの兄ちゃんに付いていってみよっかな。その頼み事が何なのかも気になるし」
「・・・好きにしろ。どうでもいいから、とっとと扉を開け!」
「了解~」
言うと、バクはいきなりイスから立ち上がり、自分のスカートがめくれるのも気にせず、先ほどまで自分が座っていたイスに立ったまま乗り上がった。
そうして僕と同じくらいの高さになったバクは、パン! と、まるで猫だましをするように、僕の目の前で両手を叩いたのだった。
反射的に一瞬、目を閉じてしまう僕。
次に目を開けた時には、先ほどまで教会の入り口に付いていた不自然な5つの扉が、自然な感じに1つだけになっていた。
「はい、リオンの兄ちゃん。幻術はもう解いたよ。早いとこミーしゃんのとこへ行こうか!」
「・・・お、おぅ」
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