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その中身には、こんな内容が書かれてあった。
Dear_________
私のお世話をしてくれる人を探しています。どうか、私を見つけてください。そして、一緒に暮らしていただけないでしょうか?給与は1ヶ月100万円。
募集中です。住所は三日月町2-135
From 果音(かのん)
と書いてある。でも宛名がない。
「って1ヶ月100万??いや待て、あやしい、どう見てもあやしすぎる。」
「う~ん、お世話・・。介護、レンタル家族・・。わからん。」
あまりにもへんてこな内容だったので、この奇妙な手紙の差出人は誰なのか・・確かめたくなってきた。
「まぁ、面白半分、こわさ半分
、行ってみますか。」
差出人がいる場所を探りにいくことにした遊飛。
その時。
-ガチャリ-
進次が帰ってきた。どうやらデートだったらしい。
「たでーま。」
キーケースを無造作にテーブルに置くと、ソファに寝転がる進次。
「だいぶお疲れだな。」
「まぁね。手のかかる娘さんですから。」
「そうか。進次には心配や世話もかけた。ありがとな。家のなかのことは思いつくかぎりやった。夕飯作っておいたから後で食えよ。」
「あぁ、サンキュ。ところでお前仕事は?
「辞めた。夜型の生活もそろそろ疲れてきたからな。いまのところ、まともな職探し♪」
いたずらそうに遊飛は笑った。
「なんだよ、お前がまともな職につけるのかよ~。」
進次がからかってみる。
「うるせーよ。オレ、とりあえず自分の家帰るわ。」
(ちょっと寄っていきたいところもあるしな・・。)
「そか。気をつけてな。」
「あぁ、じゃあな。」
そう言い、進次の家を後にする。
もちろん、寄るところ、というのはあの手紙の持ち主の家のことだ。
家なのか、どんな建物なのか分からないが、まるで冒険でもするかのように、ワクワクと好奇心に満ちていた。
(どんなところか、誰がいるのか、ひと目みてみたい。)
それが遊飛の率直な思いだった。
「書いてある住所はこのあたりだよな・・・たしか。」
「あった。」
その家を見つけた遊飛だった。
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