産声

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三時間おきのミルクも、 日が経つにつれて 間隔は長くなっていった。 凄く飲んでくれるので 母乳が足りなくなり、 ミルクを足してあげることもあった。 小さく産まれた体は時を取り戻すかのように、 目にみえて日に日に大きくなっていた。 『どんどん大きくなぁれッ』 て願っていた。 すぐに、 日晴れの一ヶ月がたった。 お宮参りにいくのに、 着物を…というときに新たな 問題がおきる。 こちらの常識と、 ビー君の両親との相違だった…。 というか、 最近の考えと昔風の考えとのぶつかりあいみたいなものだ。 着物は後々七五三でつかえるように、きちんと家紋の入って仕立てができるものを…というのはビー君側の意見。 私は、仕立てをするころには、流行りもかわっているだろうから、今回限りのものでもいいのでは?という意見…。 結局、そういいながらも出産前からの入退院で財布の中身はすっからかん。 高価な着物は買えるはずがない。 安くても10万円とかするし。 お義母さんは 当然のように 『実家にいるんだから、着物代はそっちからでるんでしょ?』 といった。 『なにそれ!?』 うちの両親が 唖然としたのも、 皆が想像する通りだとおもう。 結局、着物はビー君が小さいころ使用したものを羽織らせることにした。 最初からこれで十分だったと思うが。 最近の日本では、 着物でなくても、 セレモニードレスですませることだってできるんですよ? 私それでいいとおもって、 用意していたのに。 なんか風習の違いって、 めんどくさい・・・・。 形ばっかり気にしてるだけにみえて。 大事なのって、気持ちじゃないの?
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