環 境

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子供は哺乳瓶を使わずとも、 直母できるようになっていた。 普通、母乳が出る家庭は、 哺乳瓶に移行することが大変というらしいが、 この子は生まれたときから、NICUだったので逆で、はじめから哺乳瓶だったのだ。 哺乳瓶はあまり力を入れなくてもミルクが出て吸えるので、 いざ直接母乳を飲もうとしても、力が足りずに飲むことができない。 なるべく慣れさせて、 力を付けさせる。 そっちのほうが、私もめんどくさい哺乳瓶の消毒とかをしなくてよかったから、楽に授乳できた。 夜も寝ながらあげられたので、一緒に横になってあげた。 たまにゲップさせるのを忘れて、よく吐きだりたりした。 でもよく飲んでよく寝てくれる、とっても手間のかからない子だ。 『ありがとう』 そうやって、 毎日話しかけたりした。 つい口に出てしまう位、 癒しの雰囲気を持つ我が子は、 親を選んでうまれてきたな…と感じさせるものがあった。 友達に、 『子供は結ばれるときに自分の人生を神様から見せられ、これでいいか確認をとられる。それで、この両親の元に産まれてきたいと願って初めて姓を受けるんだよ。』ときいた。 だから、 選んできてくれたんだって感謝してる。 まだポヤっと宙を見て、 あくびしたり、 足を蹴ったりするくらいで あったが、 まわりの反響に親馬鹿の芽は確実にのびていった。 それくらい、かわいい。
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