鬱-ウツ-

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まだ妊婦の頃の話をしよう。 きっとこの時期の私は、 今から想像つかぬ位、 夢も希望もない顔付きだったろう。 嬉しいと思うことがないので、 笑顔になれず 泣きたいのに涙をこらえ、 何に対して落ち込んでいるのかもわからない・・・・ 何かに追われているような 恐怖心がただ、つきまとっていた。 これはお腹の子供に悪いと思い、書店にいって癒し系の本を読み自己啓発していた。 ただの気まぐれ程度ではあったが… そうなったキッカケは、 今までの積み重ねでもあるのだが、 とにかく次々といろんな事が起きてくるので、それに対してついていけないのだ。 行事といえば義姉の第三子が産まれた。 また男の子だった。 毎月のように、 節句やら誕生やら今まで以上にまた増えた。 お義姉さんの姑さんは明るく、 これまたうちのお義母さんすら、タジタジのキャラクター。 タンスには宝石を並べコレクションにしていて、公務員一家なのでバカデかい家に車にハーレーに…贅沢三昧だ。 この人を羨ませたいという気持ちがあったお義母さんは、腹の子は女の子がいいわ。 目の前にきて、わたしに言った。 『女の子なら、あの人のくやしがる姿を見れるのに!ウフフ…』 そういう義母の腹黒さ、 言うていることが あまりにも小さなことすぎて 話にならない。 命ならば、どっちだっていいんだ。 しかし、言われたことには 同時にプレッシャーがかかった。 頭の中は、 「絶対…女の子じゃなきゃいけないんだ…」 侵食されていった。
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