鬱-ウツ-

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ビー君もいきたいといったので一緒に行くことになった。 やはり彼も父親だったんだなぁと感じた。 あの時、私の悲しみを理解してくれないことに耐えきれず、 実家に帰ったこともあったが、それも許そうと思った。 隣町にあるそのお寺は有名らしく、行ってみるとバカでかい敷地であった。 寺の本堂も凄く高く、 敷地には広い庭。 滝行も行える滝もあり、 お寺のフルセットという感じ。 受付をすませ、 本堂を参り、 また外にでて水子堂に足を運んだ。 あたりの重たい空気の流れを感じた。 途中で、かってきた子供のお菓子やジュースを供え、 二人して手をあわせた。 お堂にはいってから、 なぜだかキモチが落ち着かなかったのだが、 手をあわせてすぐに 私に異変がおきた。 あれは今でも何故だか 不思議でたまらない。 『ありがとう』 頭に響いたのだ。 次の瞬間には 目から涙が溢れだしていた。 一人おいおいと泣きじゃくった。 隣にいたビー君にも、 『なんだかわからないけど涙がでるの…なんなのこれ…?』 ボロボロ涙がでる。 どうしていいかわからない ビー君は背中をずっとさすってくれていた。 ずっと私達が来るのを 待っててくれたんだね。 私の可愛い天使達は 心細かったのだ。 私は、一生懸命想った。 …生まれ変わったらママのところにおいでね。 次は絶対産んであげたいから。 そして、お腹の中のプレゼントありがとう。 すると涙は止まり、 晴れ晴れした気分になった。
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