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『そのへんで寝とけ寝とけ!』
あごで促されたのは、
土間の吹きさらしの板だった。
黙っていると、
ビー君なりの配慮か次には、
『それか、先に帰って寝とけよ。帰りは電話するから、迎えに来てくれたらいいし。』
意味がわからんよ…
こんな切羽詰まるほど、
具合悪いっていってんじゃんよ?
度合い位わかるだろーが。
どうして、
どの口からそんな言葉が出たのかわからない。
『帰って…ここへまた迎えにくるの?』
『当たり前やろ?アシないんだから。飲んでるし~』
『そんなの逆にきついから…待ってるよ。』
『いいとや?何時になるかわからんぞ?』
といってまた後ろを向き直り、
麻雀を始めた。
周りの友達の一人は、
二人の会話のニュアンスで何か気付いてくれたのか、
座布団とひざ掛けをもってきてくれた。
『ああ、そんなしなくていいのに悪いな。』
愛想よくビー君は
友達に礼をいった。
『大丈夫?』
の気遣いもなく、
そのまま四時間近く
板張りの床で待った。
友達もいるなかで、
『お前の嫁は付き合いも悪いな』とか言われたくなかったし、
世間体というのを
田舎は特に気にしたから、
それに合わせなければいけないと我慢したのかも。
ビー君の
帰りには当然、
お酒も入っていたし
どんどんと席は
ヒートアップしていき、
ろれつもまわらないほど
ベロベロに酔っ払っていた。
半分抱えて、
自宅に帰った。
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